シンスプリントを見分ける
新年度や新シーズンが始まり、練習も2週目に突入しています。もしあなたが指導するチーム内の選手の半数がシンスプリントを訴えているとしたら、どうしますか。 シンスプリントはどんな種目のアスリートにも起こりうる障害です。かつてはスポー
ツの現場で「すねの痛み」とひとくくりにされていた症状ですが、実はこの痛みは医学専門用語で言う腱炎、疲労骨折、コンパートメント症候群あるいは骨膜炎などのさまざまな障害によって引き起こされているものであることがわかっています。
いわゆるシンスプリントと呼ばれるもののほとんどは、脛骨過労性骨膜炎(英語で Medial Tibial Stress Syndrome)を指し、下腿内側に位置する脛骨の下方1/3に痛み
が発生することを特徴とします。 痛みは脛骨に沿ってうずくような鈍痛で始まります。ある一点に集中する痛み(この場合は疲労骨折の可能性も)とは違い、筋肉が骨に付着するラインに沿って起こりま
す。 多くの場合、不快感は運動開始時に現れ、そのあと消えて運動が終了するとまた戻ってきたりします。症状が進むにつれ、不快感は段々ひどくなり、運動している最中は
ずっと持続するようになります。そして最終的には、ベッドから起きる時や日常生活 の他の動作の最中にも痛みが伴うようになるのです。 脛骨過労性骨膜炎はランナーに多くみられますが、どんなスポーツでも、シーズンの始
めや新学期に新入部員がハードなトレーニングを集中的に行った場合に頻発します。硬い地面 の上を繰り返しランニングする、足部を背屈させる(つま先を上げる)筋肉を過剰に使いすぎる、などが原因となります。
春先にかけてのシーズン前のコンディショニングは、屋内の硬い地面(コンクリート など)の上で行われたりもします。シーズン入りする前に十分なトレーニングをしていない選手は
筋力が弱く、こうした環境も手伝って、障害の発生に拍車をかけてしまうのです。 アスリートはシンスプリントを我慢すべきではありません。痛みが持続するようであれば、アスレティックトレーナーに相談をし、スポーツドクターの診察を受けること
が望まれます。
R.I.C.E処置と積極的安静(アクティブ・レスト)
安静、アイシング、圧迫そして挙上は脛骨過労性骨膜炎またはシンスプリントの処置では基本です。
- 安静は、積極的安静(アクティブレスト)といって、受傷部位 への負担を軽減させながらも、なお かつ他の部位は受傷前のコンディションをキープすることをお勧めします。運動からの完全休養は症 状の一時的な緩和にはなりますが、選手が復帰し、遅れてしまった時間を取り戻そうと無理をすると 、症状が再発する傾向があるのです。
- シンスプリントのリハビリテーションにおけるアクティブレストには、クロスカ
ントリースキーのシュミレーション、エアロバイク、スイミングまたはウェットベル トを着用しての水中ジョギングなど がよいでしょう。
- これらの運動のあとは、アイスバッグをあてる直接アイシング、角氷で患部をこするアイスマッサー ジ、または患部を氷水などに浸すアイスバスなどの方法でアイシングを必ず行います。
- 圧迫とは、伸縮包帯(エラスティック・バンテージ)で患部を巻いて圧迫を加えることです。この時 、アイスバッグを一緒に巻き込んでも有効です。
- 圧迫をしたら、脚を挙上させましょう。床の上に横になり、椅子等に脚を上げます。この過程はアイ シングの最中ずっと継続させます。
ストレッチング&ストレッチングトレーニング
運動の前後に行うストレッチングは、すべてのアスリートにとって大切なものです。特にケガをした選手にとって、ストレッチングは欠かせないもので、症状の悪化や再発を防
ぐためにも完治後も継続すべきです。脛骨過労性骨膜炎から復帰した選手に特に必要なストレッチをあげてみました。
(1回10秒間静止するストレッチングを5回繰り返す。これを 1日に3セット行う。)
1)ステップ台や階段の端につま先をかけ、かかとを浮かせた状態で立ちます。膝はまっすぐに伸ばして、かかとをゆっくりとステップの高さより下へ降ろし、ふくらはぎの筋肉を伸ばします(左図)。

膝を伸ばした状態でのストレッチ 膝を曲げた状態でのストレッチ
2)上記と同じようにかかとを浮かせて立ちます。今度は膝を曲げて、スクワットをしながらかかとを降ろしていきます。このストレッチで、アスリートは筋肉の張りを 感じるはずですが、痛みが出てくるようなら無理に伸ばさず、痛みの無い範囲からストレッチしましょう(右図)。
ストレングストレーニング(筋力の強化)もケガの回復を進めるために重要です。鍵となるのは 以下のトレーニングです。
1)カーフレイズ:膝を伸ばし、身体をサポートできるテーブルなどの横に立ちます。つま先立ちになって5秒間の静止、これを20回繰り返します。1日に3セット行 い、簡単にできるようになったら、痛みを感じない範囲で1セットに行う回数を40〜50
回まで増やしましょう。
   
2)タオルカール(タオルギャザー):タオルの端に足を乗せ、足趾(あしのゆび)を動かしながらタオルをたぐりよせま す。かかとは床の上に固定させます。
   
原因追及と問題の改善
◆オフ期間にある程度運動レベルを落とした後、シーズンの初めに走り込みを多く取り入れてしまうと、シンスプリントの発生を助長させると言えます。この時期はアスリートのコンディションが不十分なことが多いにもかかわらず、積極的にハードなトレーニングに飛びついてしまう傾向があります。運動の間に適度な休養を入れながら、ランニングやコンディショニングメニューのペースは少しずつ上げましょう。
◆オーバーユース(使いすぎ)症候群は、通常、運動のしすぎやスピードの上げすぎ、あるいは下腿の筋肉を連続して緊張状態にした際に起こります。走行距離を一週間に10%
以上伸ばすランナーや、下腿の筋肉を休めるための代替運動を全く行わず、ランニン グを毎日繰り返し行う人などはシンスプリントになりやすい第一候補者といえます。
◆脛骨過労性骨膜炎になりやすいもうひとつの原因は、運動する地面 (サーフェス)の状態にあります。ランニングやエアロビクスの理想的なサーフェスは、衝撃吸収力を持った多目的型のトラックか芝の上です。学校体育館などは、コンクリートの上に直接床が貼られていることも多く、この場合はハードラバーのマットなど
を上に敷いてランニングするのもひとつの方法です。
◆生物測定学的に不均衡が生じているケースもシンスプリントの主因のひとつといえ ます。このようなアンバランスには、身体のアライメント不良、脚長差、アーチが
落ちている偏平、過回外などの足部の問題も含まれます。整形外科医やアスレ ティックトレーナー、理学療法士はメカニクス的な問題を究明する手助けができま す。また、ストレングストレーニングやストレッチングと併せて、装具を処方される
場合もあります。
◆適切なシューズの着用はすべてのアスリートにとって不可欠で、問題を軽減させるこ とができる場合もあります。高品質のランニングシューズやクロストレーニング シューズは、解剖学的に最善のサポートが得られるようデザインされています。ま た、破損したシューズや履きつぶした古いシューズなどは着用しないようにしましょ う。
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